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羊の毛を糸にする工程は紡績といって、大きく梳毛(そもう)紡績と紡毛(ぼうもう)紡績に分けられます。


梳毛紡績は一本一本の繊維にある程度の長さがないと糸にすることができないのですが、紡毛紡績は繊維の長さが短いものも糸にすることができます。特徴として、梳毛糸は繊維の方向が揃った細い糸で、表面の柔らかさ、なめらかな肌ざわりや光沢感があります。

紡毛糸は繊維の短い糸をより合わせて糸にします。繊維が短いから良くない原料というわけではありません。例えば、カシミヤなどの高級な素材も繊維が短いので、一般的には紡毛紡績で紡績されています。紡毛糸は繊維がまっすぐではないので、糸の中に空気を多く含み、軽く、ふわふわと弾力性がある糸になります。

もっとくわしく知りたい方はこちらをご覧ください。→ 紡毛紡績の工場へ


前置きが長くなりましたね。
さてさて、紡毛糸の糸で編み上がった作品でぜひやっていただきたいこと。
それは洗いにかけることです。

どうして洗いにかけるかというと、
それは驚くほどふっくら柔らかくなるからです。

短い繊維が集まっている紡毛糸は、糸の中に毛が詰まりやすいのですが、一度洗うことで毛が外側に吹き出され、糸の中に空間ができ、全く違ったタッチになります。

この紡毛糸に洗いをかけて柔らかくすることは「縮絨(しゅくじゅう)」と言われ、一般的にアパレル製品として販売されている紡毛セーターはこの加工がされています。


実際にチェビオットウールの編み地を洗ってみました。



右側の編み地は洗いをかける前のもの。
左はおしゃれ着洗いで洗い、柔軟剤で仕上げています。
繊維にすこし残っている紡績油もしっかりと落ちて、ワントーン明るくなっています。




洗いをかける前。




洗いをかけた後。

ふっくら弾力があり、とっても柔らかくなります。


ご自宅で編みあがったニットを洗われる時は、30℃くらいのぬるま湯におしゃれ着洗い用の洗剤を入れ、たたんだニットを、そっとやさしく押し洗いします。
2回ほどすすぎ、洗濯ネットに入れて洗濯機の脱水コースに1分ほどかけます。
干すときは型崩れしやすいので、平干し用のネットや、バスタオルの上で影干ししましょう。

着用を繰り返し、洗いをかけるごとに、ふっくらやわらかく体に馴染んでいきます。
毛玉ができにくいのも、手入れしやすく心地よく着られるポイント。
特にチェビオットウールのような英国羊毛の繊維は摩擦に強いので、長く大切に身に付けていただけるはずです。