atelier naruse × DARUMA コラボニット2023 Fall & Winter
文 牧野貴子(DARUMA)
吐く息が白くなるような冷たい空気、夜空を見上げれば瞬くオリオン座。さて、今年の冬もこの季節がやってきました。
2020年から始まったコラボ企画、今年もアパレルブランドatelier naruse(アトリエナルセ)さんとのコラボニットキットが始まります。
atelier naruseはデザイナーの成瀬文子さん、旦那さんであり社長の早川さんが率いるアパレルブランド。上質な生地を使って丁寧に仕立てられた洋服は、シンプルでありながらこだわりのシルエットで着るとその心地よさを感じることができます。
今回はアトリエナルセのお二人が暮らすご自宅にお邪魔してお話をお伺いして来ました。
昨年沢山の方に編んでいただいたDufy(デュフィ)ケーブルセーターですが、新色のブラックを加え、今年も販売することが決まりました。そして新しいアイテムとしてサイドにリボンの付いたベストが登場します。
私ならこう着たい!というナルセさんのおすすめのコーディネートも教えてもらったので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
まずはアイテムのご紹介を。
今季の新しいアイテムは両サイドをリボンで結ぶタイプのベストです。裾のリブの部分にはラインのように色の切り替えがあり、アクセントのように引き立ちます。前後でラインの位置が違うのがポイント。ちょっと短め丈なのでワンピースにはもちろん、シャツやカットソー、薄手のタートルネックのニットに合わせてもバランス良く着ることができます。
使っている糸はGEEKを2本取りで。糸の芯と芯から吹き出すウールとアルパカの毛の色を変えているので、メランジ調の奥行きのある色合いの編地です。裾の配色はメリノスタイル並太を2本取りで。GEEKとは違うソリッドカラーのラインがアクセントになります。
こちらのベストの名前は「mong-mal」(モンマル)。韓国語で肩車という意味だそうです。アトリエナルセ社長の早川さんが考えてくれました。
モンマル、モンマル…と思わず何度も口ずさみたくなるようなかわいい響きですね。ニットのベストを肩車しているなんて面白い発想。韓国の伝統衣装、チマチョゴリの胸元から広がるスカートの上に羽織る上衣、チョゴリのような雰囲気もあります。
こちらは昨年登場したチェビオットウールで編む「Dufy」(デュフィ)ケーブルセーターです。左右対象のケーブル模様が特徴的で、肩から袖にかけて繋がる模様が美しく、着やすい形です。ねじりゴム編みの効いた長めの袖口なので、袖幅が広いですがスッキリとした印象です。前後差のあるスリットはどんなボトムスとも相性抜群です。今季はブラックが新登場です。
昨年の記事も併せてご覧ください。→
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今年の新しいアイテムmong-mal(モンマル)についてナルセさんにお話しを色々伺って来ましたよ。
マキノ(以下:
M) 「今回かわいいベストが出来上がりましたね。」
ナルセさん(以下:
N) 「サイドリボン型のベストが形としては、数年前から流行ってますよね。わたしも着てみたいなあと思っていて、でも流行りすぎてるからやや抵抗があってね。でも背中もあったかそうやなぁ、いいなあ、と思っていて。今回手編みのニットのデザインを考えるにあたり、あの形のベストをやっぱりつくってみたいな、と思いました。つくるなら、ちょっとダサいものというか原始的なデザインのものをつくりたいな、と思ったんですね。」
M: 「サイドが開いてて紐で結ぶ形は原始的な雰囲気がありますね。」
N: 「一番最初に作ってもらったファーストサンプルが、肩が張ってて布を二つに折って穴を開けました、みたいなぐらいのシンプルな形が逆に垢抜けてなくて良かったんですよね。編み地は天竺のメリヤスとかリブとかアランとかそういうものがあるけど、ガーター編みってあんまりないなあ、と。テーマとしたら、原始的で民族的な感じ。おしゃれっていうよりも、どこかの民族の村に行って、冬になるとみんな着てる、みたいなそういうニュアンスがあったら面白いなと思って。博物館でみるようなね。」
M: 「ファーストサンプルはもうちょっと肩がぴーんと張ってたんですよね。」
N: 「そうそう、そこから話をしながら日常で使いやすい形にしてもらってね。」
M: 「リブとガーター編みを組み合わせた編み地、てのも面白いですね。あんまり見たこと無いです。ガーターの方が少し厚みが出そうですけどリブとガーターとちょうど同じくらいの厚みになってバランスいいですね。」
N: 「編み物を去年から教えてもらって、まだそこまでハマって無いんやけど(笑)、ガーター編みって一番最初に始める編み方の初級者向けの編み地だから、そういうのも含めていいなと思って。」
M: 「ちょっと懐かしい感じ。」
N: 「あんまり技が効いてない、明治の頃のふつうのおばあちゃんが編んでそうな。(笑)わたしの祖母は、明治生まれなんですよ。」
M: 「配色がポップでかわいいですね〜。この裾のラインも。」
N: 「後と前とちょっと違う、後ろ身頃はガーターにラインが入っているけど、前身頃はリブに入ってる。なんだろ、ちょっとへたな感じ、その感じがいいのよ〜。プロっぽくない、垢抜け感が無いっていうか。編む人は垢抜けたのがいいのに〜、て言われるかもしれないけど(笑)。」
M: 「うんうん(笑)、手編みってきれいに編もう、製品みたいな仕上がりに近づけようと思いながら編んでいる部分があって、手編み感を残しながらっていうのはあんまり無いかも。」
N: 「それ自分で編んだの?って言われないように上手に作りたいもんね。でも逆に手編みってわかるものの方が魅力的にみえることってあるよね。既製品はいくらでもあるから。ちょっとヘタじゃん!くらいの方が味があって。でも、肩の傾斜はちゃんと計算されたシルエットになってるんだよね。」
M: 「紐は割と長めですね。他にもリボンとか平べったい編み地も提案してたんですよね。」
N: 「この丸みのある形、紐っていうのが縄っぽくて原始的でいい〜(笑)。」
M: 「たしかに縄っぽい(笑)。」
N: 「編み地の色がメランジ調で雰囲気あるね。」
M: 「このベスト、全部2本取りで編んでいるんですよ。そうすることによって厚みが出てます。本体の部分に使っているGEEKという糸ですが、糸の形状がちょっと変わってて、リリヤーン状の芯にウールとアルパカを詰めて吹き出させて糸にしているんですね。2本取りで編んでも軽く仕上がります。普通の撚りがかかった糸だともう少し重みが出ると思います。軽く仕上がるけどほど良い厚みがあたたかそうですね。」
N: 「背中があったかいのよ。包まれてるような。けど脇の部分が開いてるから動きやすいのよ。」
M: 「コートとか上着を着てもゴワゴワしにくいですし、ベスト使えますね〜。」
対談はここまで。
お話を聞く前と聞いた後ではなんだか受ける印象が変わりますね。原始的な形。どこかの民族の人たちが着てそうな形。手作り感の残るような作りはより愛着が沸きそうです。
ここからはナルセさんのおすすめのコーディネートを教えてもらいましたよ。アトリエナルセのお洋服に合わせてもらいました。
まずはmong-mal(モンマル)から。
階段を上るナルセさん。(何度も上り下りしてもらいました…。)
本を取り出すナルセさん。(「肩のラインがわかりやすくていいですよ〜!」とお声がけしながら連写。)
薄手のアイボリーのモックネックニットにベージュのパンツ、ペールピンクの靴下。ナチュラルな色合いがステキですね〜。ベストの裾のネイビーとピンクのラインも効いてます。こちらはベージュ×ターコイズブルーベースのカラー。
もうひとつコーディネートいただいたのは、カラーはグレー×ネオンオレンジ。
ブラックのロングシャツにブラウンのパンツ。ミントグリーンの靴下がアクセントカラーになりますね。こちらのカラーのベストは遠目だとちょっとピンクっぽいカラーに見えます。ロングシャツとも相性がいいのです。うん、シックでかわいい!
さてさて、お次はDufy(デュフィ)ケーブルセーターの新色ブラック。
ご自宅のお庭で。
よっこらせっと。
キナリ色のあたたかそうなウールのパンツとブルーのストライプシャツ、ベビーピンクの靴下がかわいい!セーターの裾からシャツの色がチラッと見える感じ、ちょっとアクセントになっていいですね。
セーターに施された刺しゅうはナルセさん自らが刺したもの。きれいに仕上がったセーターにあえてらくがきするような感じで刺しゅうするのがポイントだそう。ぜひマネしてみたい!
キナリ色のセーターにはこんな組み合わせはいかがでしょう?ブラウンの薄手のウールのインナーに、ブラックのコーデュロイ。かっこいいですね〜。ヌードカラーの皮のベルトとブラウンのインナーが脇のスリットからチラッと見えてステキです。
さて、今回のコラボニット、まだまだ続く寒い季節を楽しめそうなアイテムが揃いました。あたたかい部屋でじっくり編み物を楽しんでみてくださいね。
アトリエナルセさんでも今回のコラボニットの深堀りコラム“もっと服のハナシ”で書いてくださいました。そちらもぜひご覧ください。
◎DARUMA×atelier naruse | 2023「mong-mal」と2年目の「Dufy」 →
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こちらのベストとセーターのニットキットは12/14(木)20時より発売予定です。
※アトリエナルセさんでは製品の販売を行います。 ~Dufy(デュフィ)~ ケーブルセーターにつきましては受注の後、来年の冬2024年に納品予定です。
キット発売予定日:2023年12月14日(木)20時より
※実店舗 DARUMA STORE -Tokyo- では15日(金)より販売開始
・atelier naruse × DARUMA ~mong-mal(モンマル)~ サイドリボンベスト 13,849円(税込)
・atelier naruse × DARUMA ~Dufy(デュフィ)~ ケーブルセーター 17,314円(税込)
atelier naruse
http://atelier-naruse.com/