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atelier naruse × DARUMA コラボニット2022 Fall & Winter

文 牧野貴子(DARUMA)



ふっくらと浮き上がるケーブル柄、立体感のある彫刻模様のようなセーターとニットキャップが出来上がりました。

2020年から始まり3年目となるスペシャル企画、今年もアパレルブランドatelier naruse(アトリエナルセ)さんとDARUMAのコラボニットキットが始まります。atelier naruseはデザイナーの成瀬文子さん、旦那さんであり社長の早川さんが率いるブランドです。いつもの暮らしに馴染む自分らしくいられるようなデザインや、ほっとするような着心地の良い素材で丁寧に洋服を作っておられます。ひとさじの工夫がもたらすシルエットや色のバランスは、アトリエナルセ唯一の世界観を作り出しています。

今年は大物のセーターに挑戦してみたい!と成瀬さんの言葉から始まった今年の企画。これまではミトンやマフラーなどのニット小物ばかりだったので、どんなセーターが出来上がるのだろう?とワクワク、ソワソワしつつのミーティング。

この企画が始まるのは毎年3月の始め、日中にはぽかぽかした陽気を感じられますが、寒い日々の記憶も鮮明な冬と春の間の季節。成瀬さんのこんなセーターがあったらいいなというイメージも手探りの中、形取られていました。

・ドルマンスリーブ
・ショート丈
・身幅たっぷり
・前後スリットあり
・袖リブながめ
・モックネック
・ロープで柄いれる

なるほど〜!かわいい形になりそう!と話は弾みました。
編地はセーター全体にケーブルが入るイメージとのこと。手編みならではのケーブル模様が沢山入った白いセーター。編地の所々にはロープみたいなヒモで刺しゅうのようなステッチを入れて、手仕事のちょっとした遊び心のあるぬくもり感も加わったイメージ。スワッチのデザインは恐れ多くも私が担当することになり一緒にセーターを作り上げることになりました。




話している中で一番びっくりしたことは“ケーブルは左右対象じゃなくていいよ”とのこと。今まで色々セーターのデザインを見てきた中で、考えたことの無かったアイデアでした。手編みだからこそできる自由な柄の編地。これは面白くなりそう〜!!とワクワクして帰り、早速スワッチ作りに没頭しました。

まずは完成したセーターからご覧ください。






じゃじゃ〜ん!なかなかの可愛さに仕上がりました〜!

試行錯誤して出来上がったセーター。ケーブルの配置を組み替える中で、中央の柄が中心からずれていると全体を見た時にちょっと気持ち悪いかな?と思い中央に幅広く細かなハニカム柄を配置しました。そうすることで左右のケーブルの大きさがバラバラでもどっしりとした安定感があり、あまり見たことのない面白いバランスに。デザイン性が強くなりそうなので、柄はどこかで見たことのあるようなスタンダードなものを選びました。交差模様は表側だけの操作の編みやすいものに。大小のケーブルを交えて編む時にちょっと注意が必要だけれどそれもまた楽しい柄を。


そして今年もセーターとニットキャップの名前をアトリエナルセ社長の早川さんが考えてくださいました。

セーターの名前はDufy(デュフィ)。

「Dufy(デュフィ)」という名前は、20世紀フランスのパリを代表するフランス近代絵画家「Raoul Dufy(ラウル・デュフィ)」からきています。パリの芸大生や若いアーティストがきれいに編み上がったセーターに落書きをするイメージ、という成瀬さんの発想から名付けられました。

セーターが仕上がった後にぜひ、勇気を出してちょこっと刺しゅうを加えてみてください。もちろん白いセーターのままでも素敵です。そんな遊び心の面白さも楽しんでみてください。
※アトリエナルセさんでは成瀬さんが刺しゅうを施した製品のセーターを受注販売しています。刺しゅうの参考にご覧ください。→




セーターの細部にもおもしろポイントが詰まっています。
肩まで身頃を編むと、肩のはぎ(引き返し部分の柄)をきれいに出すのが難しそうだからラグラン袖がいいかな?けれど左右が対象では無い柄でラグラン部分の減目を入れるのもどうかな??と色々試行錯誤の末エポレット風に。この形にすることで、身頃の両脇のかのこ編み部分に減目を入れて、ケーブル編み部分は減目を入れずに編むことができます。身幅がワイドなセーターだけれど着た時にスッキリ見えます。

袖にもハニカム柄を中央に配置しています。ハニカムの両脇には前後で違う柄のケーブル模様を。



袖から続く太いケーブル模様を衿元リブの後側につけることで身頃の前後差をつけています。




裾のスリットはねじりゴム編みでしっかり凹凸感のあるリブを。ゴム編みの伸縮性があるというよりは、身幅の広い裾のラインが自然に落ちるシルエットです。
袖口のリブも長めで、手首を出すように広めの袖を引き上げれば、たっぷりとしたシルエットでしっかりホールドしてくれます。




編んで楽しい、着てうれしいセーターが出来上がりました。(モデルさんの身長は173cm)
昨年と同じく信頼する先生にパターンの構成をしていただき出来上がりました。(大村先生いつもありがとうございます!)美しく仕立てられるような工夫が沢山詰まったパターンに仕上がっています。

Dufy(デュフィ)を編むのに選んだ糸はチェビオットウール。しっかりとしたコシ感のある英国羊毛です。スポンディッシュでケーブル模様もくっきりと、編地にパーンとしたハリもあります。だれることが無いので身幅の広いシルエットもきれいに着ることができます。ちょっと乱雑に扱っても(個人差ありますが)しっかり丈夫で末長く着られるセーターです。




さて、続きましてニットキャップにまいりましょう。



ニットキャップの名前は「kumpel(クンペル)」。
早川さんによるとこちらはドイツ語で、「相棒」とか「パートナー」という意味だそうです。思わず口に出したくなるかわいい響き。寒い冬を一緒に過ごせる冬の相棒のニット帽、とてもステキですね。

kumpel(クンペル)もDufy(デュフィ)と同じ糸、チェビオットウールで。セーターと同じ柄で、ぐるりと全て違う模様を配置しています。
こちらのニットキャップの最大のポイントは、帽子の前側が後ろ側より少し長い形になっています。帽子をペタッと横向きにおくと、かぶり口が少し斜めになっています。写真でわかりますでしょうか。
成瀬さんいわく、かぶった時に帽子の先がぴょんと飛び出ず、後ろ側にある方が大人っぽくてかぶりやすいとのこと。
なるほど〜!前から見た時のシルエットが落ち着いた印象になりますね。髪の毛を結ぶ時にも角度があることでかぶりやすそうです。






リブ部分はメリヤス編みを内側に折り込んだダブルの編み地になっています。締め付けない程度のホールド感があり、付けた時にずれないようにバランスを保ちます。前側は引き返し編みを入れて傾斜をつけています。
帽子に引き返し編み、あまり今までに無かったデザインが新鮮ですね。





さて今回のコラボニット、いかがでしょうか。
アトリエナルセさんでも今回のコラボニットの深堀りコラム“もっと服のハナシ”で書いてくださいました。そちらもぜひご覧ください。
◎『DARUMA×atelier naruse 2022|その1、デュフィというセーター』→
◎『DARUMA×atelier naruse 2022|その2、クンペルというニット帽』→



こちらのマフラーとミトンのニットキットは12/8(木)より発売予定です。


キット発売予定日:2022年12月8日(木)
・atelier naruse × DARUMA  ~Dufy(デュフィ)~ ケーブルセーター 17,314円(税込)
・atelier naruse × DARUMA  ~kumpel(クンペル)~ ニット帽 3,806円(税込)

atelier naruse
http://atelier-naruse.com/