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2024.5.10

心地良い音がする布「Paper」

「Paper」で仕立てたシャツは、袖をたくし上げたり裾を正したりする時「パサッ」と空気を含んだような音がします。それは姿勢を正したくなるような、自分で作ったお気に入りの服が確認できる心地の良い音。


その音は仕立てる時にも。
印をつける時は「サー」っとチャコペンが滑る音がしますし、カットする時は「シャリシャリ」と作業の音がします。縫製の際はリズム良く針が通る「サクサク」と形になる音がします。







光沢のないマットな質感に表情豊かな凹凸と細かなシワ感、適度な硬さと張り感を持ちつつ、しなやかさも合わせ持ったPaper。

一般的なタイプライターよりも高密度に織られた生地をリラックスした状態で晒しているから生地にふくらみが生まれ、洗いざらしのような布になります。







その質感はとても上品で縫製した作品はまるで既製品のよう。

シャリシャリとした肌触りは心地良く、サラッとした着心地はクセになります。洋服のラインを引き立てる適度な硬さと張り感。空気を纏ったような佇まいに、次は何を作ろうかと製作意欲が掻き立たれます。

洗濯の度にその質感はリセットされるので袖を通す度に素材の良さを感じとれます。アイロン入らずも嬉しいポイントです。



使い込むほどに毛羽が出てクラフト紙のような質感に。



裾や袖、肩口にデニムのような“アタリ”が浮かび上がってくるのも特徴的です。
仕立てた後も経年変化の育てる感覚が楽しめます。







こだわりの色展開は10色。

ShiroとKuroはもちろん、落ち着いたKaihakuやTokiwaで定番のシャツ、優しく淡い色合いのHakkaやUsumomoはお気に入りのワンピースに。
新色のAkaneはパンツやコートにしてもとっておきの1着になりそうです。








Paperで仕立てた服はパターンの個性が際立ちます。
“フリルシャツ”はヨーク・衿・袖についた軽やかなフリルがポイントです。
高密度に織っているため、大きくほつれることがないPaperの特徴を生かし、フリルの部分は切りっぱなしを縫い付けています。 適度にほつれたフリルの細い糸と身頃のしなやかな張り感が上品でありつつどこか懐かしさも感じられるシャツに仕上がります。





生地幅が145cmあることも大きな特徴です。
前後それぞれ生地幅いっぱいにギャザーを入れた“ショートスリーブギャザードレス”はふんわりボリュームがありながらも、軽い仕上がりです。
前後それぞれにギャザーを入れますが、薄くしなやかでありながらやわらかい生地なので、ギャザーが広がりすぎずきれいに収まるのも特徴的です。






必要用尺が短いのも嬉しいポイントです。
生地幅が145cmあるため“セーラーカラーシャツ”のプルオーバー長袖(画像上)は2.2mでボタンシャツ・半袖(画像下)は1.4mで作れます。
後身頃に入ったタックがふわっと広がることで立体感が増し、セーラー部分は接着芯を貼ることでパリッとした張り感が際立ちます。 適度な硬さと張り感を持ちつつ、しなやかさも合わせ持ったPaperの特徴が活かせるパターンです。


no.7 Short sleeve gather dress → 
no.11 Sailor color shirt → 
no.14 Frill shirt → 
Paper (高密度タイプライター) Sample sheet → 









どんな物をどんな生地で仕立てるか、時間をかけて仕立てるものだから工程も楽しみたいですし、できあがってからも末長く大切にしたいものです。 仕立てる時はもちろん袖を通す度にそんな気持ちを叶えてくれるPaper。

目の詰まった高密度の布は縫い直しが効かないのが難しいところですが、丁寧に縫えば縫うほどお気に入りの1着ができあがります。
お洋服を仕立てるのは難しくてもギャザーの入ったバッグなどの小物類でもその良さを感じていただけると思います。

心地の良い音をぜひ体感してみてください。