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2019.12.2

ペルーのアルパカたち

南米アンデス山脈地域のペルーに多く生息しているラクダ科の動物アルパカ。愛らしい表情でも有名な動物ですが、その外見のイメージとはかけ離れた標高4,000メートル以上の過酷な高山地帯で飼われていることが多いです。ペルーの世界文化遺産であるマチュ・ピチュの風景をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。



アルパカ繊維の特徴は何と言っても滑らかでしっとりした肌触り。他の天然繊維では表現しにくい独特の”ぬめり感”があります。ただ一方でハリコシが無く、編んだものがくたっとしてしまうことがあります。これをカバーするためにDARUMAではハリコシのあるウールとブレンドし、アルパカとウールそれぞれの特徴を生かしながら糸を作ることがよくあります。また、白いアルパカだけでなく茶色や黒色のアルパカもいるので、糸を紡績する時に最初から色が着いているアルパカ繊維を使うこともあります。







この地域にはアルパカを育てている農場がたくさんあるのですが、羊農家と違いアルパカ農家は1農家当たりに飼育しているアルパカの数が多くないので、専門業者が各農家を回って毛刈りされたアルパカの原毛を集めます。



一般的にアルパカの毛刈りは毎年年に1回9月〜11月頃に毛刈りされます。ただ、子供のアルパカについては生息する厳しい環境下では体力がまだないため生まれたから1年から2年近くは毛刈りをされません。羊と違い飼育環境も厳しい事や、毛が採取できる量が少ないためとても貴重で、一般的にはウールよりも高値で取引されています。



アルパカ1頭から採取できる毛の量はだいたい3kgほどですなのですが、1頭の中で毛の繊度(細さ)にばらつきが多く細い毛と太い毛がまざりあっているのが特徴です。※写真は現地の方が分かりやすいように刈り取った毛を広げてくださっているものです。

この毛を人の手によって太さごとに選別していくのですが、昔から伝統的に繊細な手作業が得意な女性のみがその作業を任されています。










ちょっと余談ですが、アルパカの毛は白や茶色に限らず、色が混ざっているアルパカなど色々な種類がいます。人の顔がそれぞれに違うのと同じようにアルパカにもそれぞれ個性があって面白いです。




選別された毛は格付されるのですが、1頭から約10%しか採取できない細い毛はベビーアルパカと呼ばれています。
そう、気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、ベビーアルパカとは”赤ちゃんアルパカの毛”という意味ではなく”ランクの高い細い毛”という意味なのです。そして、最も高級品として扱われているのがロイヤルベビーアルパカと言われているランクの細い毛で、全体の約1%(1頭から約20g程度)しか採取できません。

ちなみに、DARUMAの毛糸”空気をまぜて糸にしたウールアルパカ”は1玉に約6gのロイヤルベビーアルパカを使っているので、3玉で約1頭分になります。


私たちは紡績会社さんに毛糸を製造していただいているのですが、遠く離れた国のたくさんの人の手を借り、長い時間をかけて届けられています。毛糸に触れながらペルーで暮らしているアルパカのことを、少し想像してみると今編んでいるものもより愛着が湧いてくると思います。

最後にペルーでのびのび育っているアルパカの動画を置いておきます。
愛らしい姿をぜひご覧ください。