2015.10.29

色の現場から

皆さんのお家にある毛糸の色をよく見ていただくと、色々な色が混ざり合わさっている毛糸があると思います。
オレンジ色に見えるけど、よく見ると黄色と赤が混ざっていたり。緑色の中に実は焦げ茶が混じっていたり。
なんだか色に深みがあって、少し高級感があるようにも見えます。
このような毛糸たちは、ほとんどがトップ染めという加工でつくられた毛糸です。
このページでは「トップ染め」について少しご紹介したいと思います。

私たちが毛糸を染める時に考える方法は、大きく分けて2つあります。
1つは色のついていないウールなどの原料を糸にして、後から色を付ける方法、これが「糸染め」です。
染料を混ぜあわせて1つの色を作り、その色で糸を染めます。イメージで言うと、白い画用紙に1色の絵の具で塗りつぶすイメージです。

もうひとつの方法は、今回ご紹介する「トップ染め」
一言でいうと、下の写真のような繊維の束の状態で色を染め、後から紡績して糸にする方法です。
ちなみに、この繊維の束が巻きつけられた状態ををトップと呼ぶのでトップ染めと呼ばれています。



この方法の一番の特徴は、複数の色を混ぜ合わせて作っていること。
まず初めに、この繊維の束を1色、1色染色し、何色かを重ねあわせて混ぜたり伸ばしたりしながら、少しずつ細くして糸にしていきます。

わかりやすくお伝えするために、私たちが染色加工をお願いしている工場の方にご協力いただきました。



赤色・黄色・緑色の3色をギルという機械を使って何度か混ぜあわせます。





するとこのとおり



最初の色とは全然違った色になりましたね。
このように、どの色をどれくらい混ぜるかによって全然違った色になっていきます。
面白いのが、ネイビーをつくるために赤を少し隠し味に混ぜていたり、黄色に黒を混ぜていたり、ベースの色とは全然違う色をあえて混ぜること。まるで秘密の料理レシピをつくるみたいです。
 
この色の作り方レシピを作ることを「ビーカー」というのですが、以前トップ染めのビーカーをして下さる職人の方にお話を伺ったときにこう話して下さいました。

「すぐに色がつくれる時もあれば、1日がかりでもできないこともある。魚釣りみたいなものですよ。」

簡単にお話してくださいましたが、本当はとても大変な職人技で、1色あたり大体2、3時間はかかるそうです。


ビーカー用のサンプルが置いてある部屋には、何百もの色が並びます。





こんなにもたくさんの中から色を選んで、混ぜ合わせる。
気の遠くなるような作業で、毎日色と向き合う職人さんには本当に頭が下がります。



最後に、普段はあまり表には出てこない工場ですが、色々なところがとてもカッコ良かったので写真を撮らせていただきました。













毎日動き続ける古い機械たち。
その姿からは美しさが感じられます。

写真と文 横田株式会社 横田