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2015.10.19

編むひと。
橋本 繭美さん


大阪市在住
主婦

4年ほど前に、桜並木の美しさに一目惚れして大阪市内からこちらの郊外へお引っ越しされた繭美さん。
静かで環境の良い住宅街にあるお家には、素敵な家具や小物が気持ちよく配置されており、とても落ち着く空間に。
 
模様替えがお好きなので繭美さんに決まった定位置は無いそう。
ダイニングに座ったり、ソファに座ったり、作業台を使ったり。
気持ちの良い空間をめいいっぱい使って編み物をします。
 
南向きの窓からは優しい光もはいります。
 
編み物をするとそれに没頭して空っぽになるのがよいそうです。
日をまたぐと目のつまりなどが変わってしまうので、
ついつい集中して長い時間編んでしまうそうです。
 
そうかとおもえば、音楽を聴きながら、映画をみながらも指が自然に動く様です。
器用ですね!



没頭することが癒し、と微笑む繭美さん。
好きなものがそのときどきで変わるので、編み物をしていると、
今は、はっきりとしたピンク色が好きなのかも、などと、
自分と向き合える大切な時間になるのだそう。
そうやって色々考えているうちに一枚のコースターができあがったり。
 


繭美さんのお名前のなかにある『繭』の文字。
お母様は絹糸の原料である繭の字を選び、しっとりしたやわらかい女の子になるように、と命名されたのだそう。
 
「小さい時は画数の多さとの格闘で、うまくかけず真っ黒になっていた繭の字。いまとなっては、とても気に入っていますよ。」
 
糸好きの繭美さんにぴったりな良いお名前ですね。
 
そんなお名前も手伝って繭美さんが編み物をするきっかけはなんだったのでしょうか?
 
「編み物をするきっかけになった出来事が今までに3回。
1回目、中学生の時、みんながしているからという軽い気持ちで。はじめての棒針。でもその時はうまく編めず、あまり続かなくて、、、。
2回目は、おばあちゃんが編んだモチーフ編みのバッグが素敵で、それを作ってみたくてかぎ針を始め、大作を編みきり、一旦編み物熱は終了。
3回目はホームセンターで見つけた生成りの凧糸に惹かれて。これを編みたい!と、感じたんです。これが今に繋がり、編み物を続けることになります。」
 
 
編む上での大切にしていることやこだわっている糸はありますか?
 
「編み物ってほっこりするイメージがあるけど、できればシャープな感じで、格好の良いものを編みたいんです。
たとえば麻糸のに一筋銀色のラメの糸をあみこんでみたり、色味も抑えた感じのものを選んで大人っぽく、きりっとした物を。
アンティークの糸なども見つけたらすぐ買ってしまいます。
あと、変化を感じられる糸も好きです。
風合いのある糸で編むことで、使い込むほどに味がでてくる。そんな姿が愛おしいですね。」
 
お気に入りのお店は、大阪市の中央区の、フランスのアンティークの手芸用品を置いているMERCERIE GRAIN D'AILE。
今は実店舗は閉店されていますが、今年10月にはオンラインショップがオープンするそうです。
 

 
自作の糸巻き通し棒付きカゴ。
編み針をかごに刺して糸巻きがくるくる回る様になっています。
こうすると、糸がからまずスムーズに編めて便利!
持ち手つきの籠は必要な物を全部入れてさっと移動ができるのも魅力。
 


 
ときどき、友人からのオーダーに答えて編むことも。
そのときには丁寧にお礼の手紙を書きます。
お気に入りの便箋と封筒に手作りのタッセルを添えて。
 
大好きな糸でくるくると。。。
とっても繊細で小さなタッセル。
作る姿はまるで職人さんのよう。
 

 
晴れた日は小庭のローズマリーに水をあげるのも気分転換になります。
 
そのローズマリーをすこし切って、大好きなオーバルの器のお湯に浮かべるだけで簡単アロマの完成。
部屋の中が気持ちのよい空気に包まれます。
その中で本を読んだり、大好きな器にお茶を入れたり。
 
シークァーサーを輪切りにしてお水に入れたものも、すっきりして良いリフレッシュに。
グリーンのコントラストがキレイです。
 
 
ゆっくりと、時間をかけて編んだもの。
時間をかけて少しづつあつめたお気に入り達。
古いもの。新しいもの。
そういったものがたくさん集まって、
大好きな空間にキチンとおさまって、
暮らしにぴったりなものが増えていく喜び。
 
使うほどに味の出てくる繭美さんの作品は
そんな暮らしには欠かせません。
 
麻の糸のテーブルランナーは150cmの大作です。

 
 
時間をかけて集めたお気に入りの糸がたくさん。
結婚10周年記念につくられた糸入れです。
とある作家さんの作品で持ち手には
お二人で十の文字を焼き入れられたそう。
 


 
フローリングに敷いてあるのは、月桃という植物の茎で編んだという、沖縄の一般家庭で使われている敷物。
優しい色合いの竹で編まれた籠。
どれも、大切に編まれたストールとの相性もぴったりです。
 
編んだ物に心引かれるんですかね、とお茶を淹れながら微笑む繭美さん。
水出しのお茶を淹れる下には麻のティーマットを。
 


 
繭美さんのライフスタイルに欠かせない
編み物と暮らし。
たくさんのお話と美味しいお茶と。
 
とっても素敵な空間で、
ついつい長居してしまいました。


撮影と文:橋田 有加里