2016.3.24

糸と雑貨のお店 “chocoshoe” へ
knitデザイナーのeccominさんにお話を聞きました

渋谷の駅から徒歩10分ほど。東口から六本木通りへ。美味しいそうなごはん屋さんが立ち並ぶ通りにその建物がありました。
でこぼことしたおもしろいカタチ、chocoshoeのお店は1階、少し奥まった所にひっそりと柔らかな光を放っていました。





2015年の11月、chocoshoeのお店はオープンしました。

chocoshoeとはニットデザイナーであり作家のeccomin(エッコミン)さん、ニットクリエイターのiiii(イニイニ)さん、イラストレーター、デザイナーでもあるeccominさんの旦那さんの3人で結成されたユニットです。

eccominをはじめて知ったのは3年ほど前、糸を使った作品にこんなカワイイものが!と思ったのを覚えています。ふんわりとした中にもスパイスのある色が効いた世界観が魅力です。

ずっとお話を聞いてみたかった方eccominさん。
お店がオープンした時期に発売された著者本「手編みのちいさなバッグとポシェット」(誠文堂新光社刊)にも掲載されているポンポンのバッグもカウンター越しに吊るしてありました。カラフルでカワイイ!





お店の運営もされているeccominさん。
大きなカウンターでニットのデザインのお仕事や作品作りをされています。
chocoshoeとして活動する前はどんなことをされていたのでしょうか?
これまでのお話を聞いてみました。

「文化服装学院ニットデザイン科を出て、在学中にイタリアLineapiu(リネアピゥ)社っていう紡績会社で仕事をしていました。Lineaは“線”でpiuは“プラス”っていう意味なんです。そこの紡績会社がピッティ イマージネ フィラーティという展示会に出展していて、そこでデビューする学校に受かったんですね。それでイタリアに行くことになったんです。」

イタリアに!

「けど行っている間にその会社が業績不振になっちゃって、学校がキャンセルになっちゃったんです。
でもせっかく来てくれたということで、そこの会社のデザイン室にインターン生として半年入って、糸のプレゼン用のサンプルを作っていました。モヘヤの担当になって、色々な作品のサンプルを作っていました。」

そこの会社であらゆるモヘヤ使ってサンプルを作っていたそうです。
半年が過ぎ、まだイタリアで働きたかったeccominさんは知り合いを通じてデザイナーさんのアシスタントをしたり、バイトも重ねながら2年半ほどイタリアで生活されました。

イタリア語は日本で勉強して行ったんですか?

「それがしないでゼロで行ったの!勉強せずに勢いで!
昔から海外に行きたくて、ひとりで海外旅行をしていて、たまたまイタリアとのご縁だったんですね〜
しゃべれないと何も伝えられないからずいぶん鍛えられました。」

と笑顔のeccominさん。専門用語も多数使いこなさなければいけない仕事、言葉のハードルはとても大変だったと思います。
ふんわりした作品の世界からは思いもよらなかったアグレッシブな姿が見えてきました。



そこからはアパレルメーカーから依頼を受けてOEM生産している日本の会社に就職が決まり、帰国。
24歳で日本へ帰って来たeccominさん。

「そこの会社が原料の輸入業をやっていて、イタリア人とやり取りしてたから仕事で使うイタリア語はそこで覚えました。」

デザインの仕事をするもアパレルが合わず退社。
その後インポートのセレクトショップでバイイングと販売員を。

「パリに買い付けに行かせてもらって洋服、バッグ、アクセサリーを仕入れて売る、という仕事をしてたんですけど、
そんなこんなしてるうちに、これだったら私もできるんじゃないか?と思っちゃって!」

その頃同時にフリーの編み物のデザインの仕事もするようになり、そこの会社も1年で退社されます。

「編み物1本でやろう!」
と26歳で独立。eccominが始まります。



eccominさんの名刺入れ。
ピンクが効いてカワイイ色合い。
これぞeccominカラー。(と私たちは呼んでます)

何でニット1本でやろうと?

「なんでだろ?合ったんですよね。肌が。
本当はパタンナーになりたくて文化服装学院に入ったんだけど、1年間洋服の基礎を習うんですよ。
スカートとかからジャケットまで。やった時に1mm線がずれるときれいじゃない、とか…、
そんなの変わんないじゃん、て思っちゃって。」

「で、ニット科に見学に行ったとき、ニットは1cmくらいは誤差だと先生が言っていた時にそれが印象的で。
私こっちの方が合うんじゃないかと思って。」

ニット科は手編みも家庭機も、工業機もニットにまつわる工程は全て勉強するそうです。
アパレルで生きていく、デザイン重視の勉強をします。

「入ったらすごく面白くて!1本の糸からこんなものができるなんて!て感じになっちゃって。
ニットへの愛が開花しちゃいました。」



独特の色使いをされるeccominさん。
色を選ぶ基準はあるんでしょうか?

「よく聞かれるんですけど、ほんと感覚なんです。
あと、イタリアの紡績会社で働いていたからだと思います。
日本の色出しとは違って、発色がとっても良いんです。」

私たちが色出しをする時って、合わせやすい色とか、肌になじむ色とかなんですけど。
イタリアの方はみなさん明るい色も似合いそうですもんね。

「明るい色を着るのにそんなに抵抗がないのかもしれない。
くすんだ色とか着てたら、くすんじゃうじゃん♪みたいな。
黒とかグレーとかはベーシックにあるけど、そういう色でさえ可愛い。」

なるほど〜
イタリアでの感覚がベースにあるのですね!

「もともと、文化にいた頃から作風も何も変わってないんですよ。
あの時のままだね、って私の友達もいうから、学生の頃からその片鱗はあったんだけど、
イタリアへ行って、その幅がまた広がって強まった気がします。」



なんでお店をはじめようと思ったんですか?

「それが、色々矛盾しちゃうんですけど、学生の時からお店をやりたかったんですよ。
40歳ぐらいになった時に、自分のお店でニットを作りながら、発表する場がない作家さんとかに場所を提供できたらいいなってずっと思ってて、ちょっと早いけどお店を持ちました。」

eccominさんの作品も最初どこで売ってるのかな?と思いました。

「eccominを置いていただいているお店はとても少ないんです。
生産がおいつかないんですよね〜」

ひとつひとつ自分達の手で作るeccominさんの作品。
量産できないんですね。
手作りならではの楽しさやあたたかさが伝わってきます。



これからはお店があるからこそできることが沢山ありそうですね。

「何かワークショップをやりたいと思ってた時は場所を探すのも大変だったけど、お店ができたから楽です。
編み物をしたことがない方へ向けてのワークショプをやりたいんです。
かぎ針はまだ簡単だけど、棒針は最初は慣れないだろうから誰かといっしょにやって
はじめを覚えちゃえば簡単。あとはおうちでもくもく編めばいいから。
そういうのを定期的にやって、編み物人口が増えたらいいですね。」

お店には素敵な作品が並びます。
こんな色使い、形が可愛いなぁと想像も大きくふくらみそうです。

「自分で1本の糸からセーターが編めるなんて
なんて楽しいんだ!って思うでしょ。」

セーターもマフラーもミトンも、全部はじめは1本の糸から出来上がっています。
1本の糸からこんなに素敵なものが出来上がる、
それが自分の手で作れると思うと、さらにワクワクしてきますね。

何か楽しいものが、楽しそうなことがありそうなchocoshoeのお店。
小さな展覧会やワークショップも開催されています。
eccominさんをはじめ、沢山の作家さんの作る特別な一点にも出会える素敵な場所です。


chocoshoe
http://chocoshoe.com/
東京都渋谷区東1-3-1 1F no.5



撮影:横田株式会社 横田
文:横田株式会社 牧野