DARUMA STORE
jor_hamadaasuka_2023SS

TUBE × ASUKA HAMADA

レーベル「THERIACA」を掲げ、ベルリンを拠点に活動するファッションデザイナー濱田明日香さん。
DARUMAでは2020年にTUBE(釣り糸のようなナイロン糸をチューブ状に編んだ糸)を共に開発し、BAG KITをデザインいただきました。

コーディネイトしやすいよう考えられた色選びや色合わせ。表情の違う棒針とかぎ針の編み地を組み合わせることでシンプルなデザインにコントラストをつけたり、あえて質感の違う糸を合わせたりとその発想にワクワクしました。また初心者の方にも編みやすいよう工夫された編み方にもこだわりを感じます。

2022年には「THERIACA」のニットプロジェクトをまとめた書籍『THERIACA Yarn, Rope, Spaghetti』を発刊。 糸はもちろん布や紙、クッキー生地なども素材とし、試行錯誤を繰り返しながら編むことを探求して作品に落とし込む過程が見れる1冊。ページをめくるたびに、楽しみながらも真摯に編むことに向き合う濱田さんが感じとれます。同タイトルの展覧会も全国各所で開催されました。









お忙しいだろうし、来年(2023年)のKIT販売は難しいかなぁと思っていた昨年(2022年)末。
「キットのテスト編みしています〜」と嬉しいご連絡が!
「どんなんかな〜。新色も入れてくれるかな〜」と楽しみ過ごしていたところ、年明けすぐにスケッチが届きました。 前回も思ったのですが、この時点ですでにかわいい〜。実物を早く見たーい !
すぐにサンプル製作に取り掛かっていただき、2月末にはサンプルとテキストができあがりました。




今回のデザインが生まれた過程やお気に入りの点などについて濱田さんにお聞きしました。

ー2回目ということでアイデア出しは難しかったのでは?と思います。
今回のデザインはどんな時に生まれましたか?


濱田(以下:H そうですね、自分でも第一弾の時にアイデアを出し尽くした気がしていたので2回目は苦労するかなと思ったんですけど、編み始めるとアイデアが出るまでにそんなに時間はかからなかった気がします。TUBEは糸自体が面白いので、スワッチを編んでいるうちにこういう形にしようかなとアイデアが自然と浮かんでくる感じ。 完成形をイメージしてそれに向かって作るというよりは、面白い編み地ができたらそこからどんなアイテムにしようか考える、という順番です。


ー今回の作品でお気に入りの点とデザインするにあたって苦労した点はありますか?

H: 私はシンプルな編み地が好きなんですが、シンプルな編み地であればあるほど、他と差別化したり特徴を出したりすることが難しくなりがちです。
最終的にはシンプルかつ私らしいデザインに落とし込めたかなと思うのですが、そこが気に入っているところでもあり、苦労した点ですかね。



完成形からではなく、編み地から発想するデザインだからこそ、今までにない新しいものが生まれるのだろうなぁと改めて思いました。 試行錯誤の過程があるからこそ、シンプルなデザインにも濱田さんらしさとこだわりを感じます。
各商品に濱田さんからコメントもいただきました。後半では、近況などもお聞きしたので最後までお楽しみください。









いよいよ第2弾となった、この夏に映えるTUBE BAG KITのお披露目です !
今回はうれしいことに濱田さんにも撮影のアイデア、THERIACAから衣装もご協力いただきました〜。
モデルの蜂谷ジュリーさんの雰囲気とTHERIACAの衣装が相まってとても素敵な世界観も必見です!








ラビオリバッグ

シンプルな編み地に縁編みを施し、
肩紐まで続くぽこぽこがかわいいバッグにしました。
中に物を入れると膨らんで、
具がたっぷり詰まったラビオリみたいに。
ビビットなオレンジや水色で編めば
コーディネイトのポイントに、
白なら繊細な雰囲気に仕上がります。









KIT色展開:クリア、オレンジ、アクア







ボードゲームバッグ

オセロなどのボードゲーム盤を
イメージして編んだ格子状のバッグ。
タマネギの保存や毛糸玉のストックなど、
見せる収納にも活躍しそう。
透けるバッグで春夏のコーディネイトに
清涼感をプラス。








KIT色展開:クリア、レモン、グレー







サイコロバッグ

コロンとした形がかわいい、
立方体のパターンで出来ているバッグ。
パッと目を引く鮮やかな色のストライプだから、
シンプルなコーディネイトに差し色として
プラスするのがおすすめ。







KIT色展開:ミントグリーン × ピンクベージュ、オレンジ × アクア









ーどれもコーディネイトのポイント、主役になりそうなバッグで全部編みたくなります!
濱田さんだったら、どんな洋服と合わせますか?


H: バッグが目立つように洋服の色数は絞るかなーと思います。
例えば全身白コーデに黄色のバッグを合わせてバッグを差し色に使ったり。あとは赤青ストライプのバッグと青系の服合わせるなど、バックから色を拾ってコーディネイトするのもまとまりがいいと思います。


ー編む時にオススメな音楽などありますか?

H: あまり音楽を聞かないので、作業をするときはYoutubeを流しっぱなしにしてることが多いです。
画面を見なくても内容がわかる知識系、歴史系、時事ニュース系、カルチャー系をよく流してます。作業の時間を使って知らなかった事とか新しい情報とかを知りたいタイプ。でもあんまり頭を使いたくない時は怖い話とかも聞きますし、ピース又吉さんの「百の三」という企画がラジオ感覚で聞けて面白いです。
怖い話は昔は苦手だったんですけど、ヨーロッパに住むようになって日本の怖い話の設定にリアリティーを感じなくなったので怖がらずに聴けるようになりました。たとえば床が軋む音とか、こっちの建物は木造じゃないので同じような環境にいないから、フィクションとして聴けるという感じ。


ー編み物と関係ないですが(笑)、ストリーミングサービスは利用されていますか?
おすすめな作品があれば教えてください。


H: Netflix,くらいですかね、映像作品にはあまりこだわりなくて、人のおすすめとか評価がいいやつを主に観てます。
「Midnight Gospel(ミッドナイトゴスペル)」という作品が好きです。 全7話のシリーズで、毎回異なるゲストにインタビューしたものにアニメーションがつけてあり、瞑想、宗教、生死などの哲学的な内容。
かなり癖があるので人を選ぶと思うんですけど、最終話に重みがあるので最後まで見るのがおすすめです。
アニメーションがめちゃくちゃかっこよくて、こういう振り切ったものを作れるのはクリエイターとして憧れます。
一人で作るならまだ理解できるんですが、アニメって多くのスタッフで作るものなので、このぶっ飛んだ作品をどうやって方向性を共有して制作を進めるんだろう。と感心しながら見ました。興味があれば見てみてください。


ー最近は何か編まれて(作られて)いますか?

H: 子供が生まれたので張り切ってベビー服を編んでいたのですが、編んでも編んでもすぐにサイズアウトするので、帽子、セーター、パンツと編んだところで力尽きてやめました(笑)。
もともと小さい服が好きでコレクターでもあるので、小さなニットを編む作業は楽しかったし、着れなくなっても観賞用として大事にしてます。 あとは今回キット用にデザインしたボードゲームバッグを自分用にも欲しくなって編んでます(笑)。


ー最近ハマっているものありますか?

H: ハマっているというか、子供の世話をしていると、覚えていないような自分の小さい時の記憶がフラッシュバックすることがあって、私はタイツを穿かされるのが嫌いだったんですけど、その時の感覚とか、母親の膝に乗って遊んでいた時の感覚とか、高い高いされた時の感覚とかがふっとよみがえってくるんです。
自分が子供の頃のアルバムを見るときも、自分の小さい姿を見るというより、当時母がどういう気持ちでこの写真を撮ったのかとか、母に感情移入して見てることに気づいたり。
なんか自分の歴史を見つめなおす作業を半分強制的にさせられているようで不思議です。
今までとはまた違った自分で制作と向き合っている感覚が面白いと感じています。
あとは赤ちゃんは言葉が通じないのでコミュニケーションとはなんだろう、と考えたりもしますね。
おもちゃもお気に入りと興味がないのとにはっきり分かれるのが面白くて、赤ちゃんが興味を持つものって大人にも引っかかるポイントなんじゃないかと思って観察したりしてます。


ーここ最近は日本も旅行者が増え、徐々に日常が戻ってきた気がします。
お住いのベルリンはいかがですか?
コロナ前後で生活や考え方に変化があれば教えてください。


H: コロナの終息に2、3年かかったのはさすがに長かったけど、振り返るといい充電期間になったとも思います。
コロナ期間中は編み物の仕事が多かったのですが、編み物は時間がかかるので、家でこもって作業するには合っていたかも。 でもやっぱり外に出たり人に会ったりしないとおしゃれってする気にならないものだなあという気づきもありました。
服はやっぱりコミュニケーションや自己表現のツールでもあるので、見てもらう相手がいて成り立つものだなと。
今はベルリンでも日常が戻っていて、それに伴って私も洋服を作りたい欲、おしゃれしたい欲が出てきたので、今はせっせとコレクション作りに没頭してます。


ー今後も濱田さんの探求は続くかと思いますが、決まっている予定などあれば教えてください。

H: とりあえず2023年の秋に久々のTHERIACAの展示会をする予定です。
その先もポツポツ予定が入りつつありますが、インスタなどで告知していきますのでフォローしておいてもらえるとうれしいです。
Instagram: @_theriaca_









こちらの編み物キットは5月25日(木)から発売です。
糸と作り方パターンをセットにしてお届けします。

TUBE × ASUKA HAMADA
発売期間:2023年5月25日(木)〜7月31日(月)
※販売開始は5/25(木)12時ころ〜を予定しています。

・ラビオリバッグ 6,820円(税込)
・ボードゲームバッグ 8,800円(税込)
・サイコロバッグ 10,780円(税込)






ファッションデザイナー。京都市立芸術大学、ノヴァスコシア芸術大学(カナダ)にてテキスタイルデザインを勉強後、デザイナーとしてアパレル企画に数年携わり、渡英。ファッションとパターンについて研究し、自由な発想の服作りを続けている。2014年、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション在学中に自身のレーベル“THERIACA”(テリアカ/万能解毒剤という意味の言葉)をスタート。2015年からはベルリンに拠点を移し活動を展開。ギャラリー、美術館での作品発表、ショップでの販売に加え、書籍などいろいろな方法で作品を発表してきた。著書に『かたちの服』『大きな服を着る、小さな服を着る。』『ピースワークの服』『甘い服』『かたちのニット』(文化出版局)、『THERIACA 服のかたち / 体のかたち』(torch press) 『THERIACA Yarn, Rope, Spaghetti』(DARUMA)がある。
www.theriaca.org
Instagram: @_theriaca_
YouTube Channel: Asuka Creative Studio